部屋の隅で、古いCDコンポにヘッドフォンを繋いで、耳と、脳みそと、身体中と、性器と、、に音を注ぐ。

狭く壁の薄いアパートの二階の部屋では、行動に制限がかかる。

猫が歩くように、ひたひたと歩き、タンスの開け閉めも、なるべく音をたてぬように行う。

別に、誰に注意されたわけでもない。波風たてずにシンプルに生活を送るためには、これくらいの無音ライフは仕方ないと思っている。

ヘッドフォンのなかでは、どんなに爆音で音楽をならしても、誰も怒らない。

痛むのは私の耳だけ。

私と、音楽と、二人きりの世界に入る。


トントン

肩を叩かれて、我にかえる。