気付けば視界はモノクロにかわり、ぼんやりしている間に時間はすぎていた。

何を話したか、あまり覚えていない。

理絵ちゃんの友達のうちの一人が家まで送ると言ってきかなかったけど、なんとか最終のバスに乗って帰ることができた。

ゆっくりお風呂に入る暇はなさそうだ。
帰り道、理絵ちゃんからメールが入った。
“ユウキくんがゆかりの雰囲気がすごくいいって言ってたよ”
悪い気のしない誉め言葉だけど、当たり障りがない言葉のような気もする。

ユウキくんがどっちだったかさえ覚えていないけれど、理絵ちゃんは私とそのユウキくんが二人並んで歩くことを期待しているのだと思う。

そんな未来も、間違ってはいないのかもしれない。

バス停から家に迎う途中で太一に会った。
私の家で待ってくれていたようだ。

明日、遅刻しないようにねとだけ言って、太一の背中は小さくなっていった。