おばあちゃんは実は意地悪ばあさんで、太一のお父さんもお母さんも、おじさんもおばさんも、みんなおばあちゃんを嫌うらしい。

いつもみんながおばあちゃんの嫌な話をするから、孫たちもおばあちゃんを嫌いになって寄り付かなくなってしまった。

それでも太一はおばあちゃんが大好きだ。

「内緒でアイス買ってくれたし、俺が知らない事なんでも知ってる。ゆっくり話してくれるし、ゆっくり話を聞いてくれる。
誰かの話なんかより、自分が触れてみて感じる気持ちの方が確かだよ。みんなには意地悪でも、俺にはやさしいもん。」


私はきっと、太一のおばあちゃんだから、おばあちゃんが好きなのかもしれない。

自分の気持ちを、感覚を、大事にできる太一が羨ましい。

誰かの言葉に左右されない、太一が羨ましい。

理絵ちゃんから電話がかかる。