「ありがとうございます」



「ほんとに何から何まで私なんかに優しくしていただいて、申し訳ないです。」



「奈緒。」


ワントーン下がった声で名前を呼ばれた私は背筋が伸びた。



「私なんか、じゃない。お前はもっと自信を持て。」



どうやら貴さんは、私なんかって言ったことに対して怒っているようだった



「俺は、そのままのお前が好きだよ」

、、、、す、好き?




突然発せられたその言葉は、貴さんが仕事に行ってからもずっとぐるぐる回り続けた。



好き、と言われてからの記憶が無い。


昨日の夜どうやって寝たんだろう私。



お見送りはしたっけ?



で、私は今何してるの?





何故かちぐはぐの靴下を履いてコンセントのささっていない掃除機を転がしている私に心底呆れた。