おじさんは
さっきよりも一段と
手の動きを早くした。


不気味な笑みの
おじさんの顔と、
気持ち悪い手の動き、
荒くなった鼻息が
莉奈の気分を悪くさせた。

揺れる電車がさらに
気分を悪くさせ
莉奈は吐き気がしていた。



―次は本通り〜―


電車のアナウンスが
莉奈の耳に響いた。


(早くドア開けて!)

莉奈はアナウンスと
同時に立ち上がり
ドアの前に走った。


おじさんは残念そぅに
莉奈の後ろ姿を
見つめていた。


―プシュー―