どうしようもないくらいの勢いで、私たちは恋をしていた。そうだと思っていた。


「唯月には、中2の時に告白されたの」

「中2だったんだねー」

「うん。私も好きだったし、いいよっていったの、」


中1のとき同じクラスで、委員会も一緒だったため、もとから仲が良かったのだ。漫画好きもあって、すぐに仲良くなれたし。


「中3の冬まで付き合ってたのは、知ってるでしょ?梨花も」

「うん。有名だったからね、あんたら。イケメン唯月くんと、成績優秀な葵和のペアは、みんなの萌えだったな」


梨花は昔の懐かしい思い出をいとおしむように、その追憶に浸った。私はまだ日差しの熱い空を見上げた。

空は青々しくて、眩しかった。


「あんたが唯月くんに好かれてんのはみんなが知ってたな。菜乃花(なのか)とか、ひよりとか、大歳(たいせい)とか、みんな」

「懐かしい名前。良く覚えてる」

「だろうなと思った。特に、菜乃花とは親しかったし」

「うん、唯月とケンカしたときとか、めっちゃ相談のって貰ってた」

「のってくれそう。菜乃花いろんなこと知ってるし」


菜乃花はサバサバした性格をした私と梨花の友達だ。唯月と付き合っていたとき、良くお世話になった。唯月とは小学校からの知人らしい。

どうしようかって、思っている。私が会いたくて会いたくない人は、何でこの高校に来るのだろうか。


疑問はまだある。けど、きっとなんとかなるだろう。


「葵和。唯月くん、明日うちのクラスに来るんだって」