[あれ? エリー? エリーじゃない?]

 どこから聞こえてきたのだろうと、私は顔を上げて辺りを見回す。

「わあ、サンじゃない! こんなところで会うなんて偶然だね」

 そこには、水の聖霊のサンがいた。

[それはこっちの台詞だよ。私達はいつもこの辺にいるもの]

 サンは笑顔でふわふわと宙を浮きながら、上流からこちらに近づいてくる。

[エリーは何をしているの?]
「えっとね、実は──」

 私はサンに事情を話す。
 セローナ大聖堂のブルノ大司教が神聖力の使いすぎで倒れたこと。
 今も昏睡状態が続いていること。
 治すためには、世界樹の実が必要なこと。

 神妙な面持ちで聞き入っていたサンは、うーんと考える様子で顎に手を当てる。