ガーネとベラは残念そうに肩を竦めた。

 ザグリーンからブルノ大司教を治す薬を作るためには世界樹の実が必要と聞いて、私達はその実を探しにアメイリの森に来ていた。ただ、世界樹の実がどこに落ちているかは聖獣であるリーンやイリスもわからないようで、地道に探すしかない。

 今はこうして、地面の木の葉の下に落ちているかもしれないと風の精霊──ガーネとベラが手伝ってくれている。けれど、今のところ収穫なしだ。

(どこにもないなー)

 目的のものをなかなか見つけ出すことができず、私は肩を落とす。
 ザグリーンやイリスが以前に世界樹の実が落ちているのを見かけたことがあるという場所を重点的に、朝から既に三時間以上は探している。けれど、空振り続きだった。

[エリー。ここにはなさそうだから別の場所に行ってみようよ]
「うん。そうだね」

 ガーネとベラの呼びかけに、私は頷いた。
 ザグリーンによると、世界樹の実は赤色をした美しい実だという。
 赤色の実なんてそこら中にありそうなので見分けられるか心配だけれど、ザグリーンは『見ればすぐにわかる』と言ったのでそうなのだと信じている。

 ちょうど近くを流れていた小川に近づき、両手で水を掬い上げるとそれを飲む。今日は少し暑い位の陽気なので、冷たい水がとても美味しく感じた。

 そのとき、近くで可愛らしい声がした。