[流月side]

「今日もモテててたねぇ」


おっとりと話す彼女は雛という。私の親友であり、幼馴染の優太の彼女だ。



流月『いやぁ、違うよ。みんな面白がってるだけ。』



雛「ん?あなたは馬鹿なんですか??毎日呼び出されて告白されてて。
  それのどこがモテてないと??」



‥‥欠点だらけの私を誰が本気で好きになってくれるのかね。


そう、心の中でぼやく。



流月『そういうあなたも告白されたんでしょ?』



雛「え、もう知ってるの?情報の出回り早すぎじゃん。
  ん〜まぁ告白されたけど流月ほどじゃないから。」



この子はめっちゃモテる。いわゆるゆるふわ系女子だ。


でも、ぶりっ子とかじゃないから女子からの支持も半端じゃない。



雛「話変わるけど、好きな人とかいないの?」


流月『‥‥いないよ。作っても切ない思いするだけだから。』


雛「そっか。‥‥まだあの時のこと忘れられないの?」


流月『‥‥うん。』


実は先輩に振られた話には続きがある。


振られて、傷心して。泣いて。次の日学校に行くとキラキラした女子、いわゆる陽キャ


女子が私にいじめという形で構ってくるようになった。


その時は分からなかったけど、先輩にはファンクラブがあったらしい。


振られたのにと思いながら耐え抜いた記憶がある。


その時から雛には相談相手としてお世話になっていた。


‥‥別に先輩に何かされた訳ではない。


ただ、いじめてた陽キャ女子の中に私の仲が良かった友達がいて、


人を容易に信じちゃいけないということを学んだだけだ。


特に男絡みはめんどくさい。



雛「簡単なことじゃないけどさ、好きなことをして青春は楽しんだ方が
  いいと思う。一生に一度の青春。」


流月『うん。ありがと。‥‥なんかかっこいい。』


雛「なんかってなによぉ〜」



特別壮絶ではない。でも、青春は楽しまなきゃね。



放課後バレーボールの練習も休みで帰ろうと思ったが、



竹倉くんの姿を教室で見つけたため、少し話してから帰ることにした。



流月『〜〜でね。少しびっくりだったけど、冷静に考えてみたら
   私のどこを好きになったのかって。疑問になっちゃった。』



湊人「告白される側も楽じゃないんだね。‥‥でも、僕は身長が高い人も好きだよ」


‥‥え??それはどういう??


湊人「あ、どちらかというと好きな人に外面的な条件はないってことだよ。」


流月『あ、そういうことね。』


淡々と返事をしてしまったが多分顔は赤い。


夕日が出てて助かった。赤いのがバレなくてもすむ。


流月『ご、ごめん。用事思い出したから帰るね‼︎じゃあね』


湊人「うん。じゃあね。」



かけ足で階段をおり玄関についたところで、私は気づいた。


竹倉くんのあの発言が私の中で響いていたこと。


そして、あの発言をした竹倉くんがかっこよくて好きになってしまっていること。


‥‥こんなことで恋に落ちる私は単純なのだろうか。