間違えることなんてない名前だけど、あまりの緊張で手が震えたり字が歪んだりしたらどうしようと思いながらも。
柳……瀬………織……。
なんとか緊張していたわりには綺麗に書けてホッとする。
心の中で名前を読みながら、なんだか呼び捨てで読んだ気分になって。ドキドキする。
まさか、私の字が、織くんのノートの表紙に載るなんて。
「正解」
と優しく微笑む織くん。
ぬぁ……かっこいい……。
「あ、当たり前だよ。どんだけ織くんのこと見てると思って────えっ」
突然織くんが私の手からペンを取り上げると、私のノートに描かれたステーキの横に、スッとなにかを書き出した。
「っ」
その字をみて、ボッと顔に熱が集まる。
白……井……。
初……。
これって……。
最後に花を書き終えた織くんが顔を上げて。
「白井初花」
「っ、」
私のフルネームを読み上げた。