「あ、そうだ。ちょっと待ってて」


何かを思いついたような織くんがそう言ってササッと部屋を後にした。


なにか、忘れ物??


とりあえず、織くんが完全に部屋からいなくなったのを確認して。


「ぷはっーーーー」


はぁ、やっとしっかり呼吸ができる。


織くんといるとまともに呼吸できなくて、私いつか酸素不足で倒れちゃうな。


すごすぎるよ。
あの顔面レベルで一般人として生活しているのおかしいって。


改めて織くんのかっこよさに感心していると、新品のノートと油性ペンを手に持った織くんが戻ってきた。


「白井さん、これに同じの描いてくれる?」


ふぁ?ぬぁんですって?
織くん今なんて言った?


「あの、」


「ステーキ」


「や、」


「ここに」


まともに言葉を発せなくなっている私をよそに織くんはノートの表紙を指さした。


な……本気でおっしゃっているの??