「上手なのに。なんで隠すの?もっとちゃんと見たい」
「あ、ちょ、わっ……」
私のノートをもっと近くで見ようと、織くんがさらにこちら寄ってくるので、肩が触れてしまった。
もう一度言おう。触れているんだ。肩が。
しかも顔も一気に至近距離。
少しでも織くんの方に顔を向けたらくっついて……あぁ、だめだ。
いけないことを考えてしまった。想像したらいよいよ鼻から赤い液が出てしまう。
と、思っていたら、ノートの上に置いていた手にピタッと、織くんの手が触れた。
「な、ちょ、あ、お、り、く、あっ、」
なななななにしてるんですか、柳瀬織くーーん!!
死んじゃうよ!私!!
「どけて」
なんて、「クーン」と今にも聞こえてきそうなねだる顔でいうんだもん。
意地悪だよ、織くん。
あたしゃ、こんなに恥ずかしがってるっていうのに。
こんなの……聞く以外の選択肢、ないではないか。