だけど、ゲンコツは降ってこないし、怒鳴り声もない。


おそるおそる目を開けると、あたしの体をふわりと秋都が抱きしめた。


「秋…都……?」

「…ずっとこうしたかった」


あたしの首元に顔を埋め、背中にまわした腕でギュッとあたしを包み込む。


久々の秋都の匂いと、秋都の体温…。


「なに勝手にいなくなってんだよ…!」


あたしを求める切なくて甘い声に、思わず視界が涙で滲んだ。