「おじさん、…ありがとうございます」


一番お世話になったきぬゑさんにも挨拶ができないまま、あたしはこの四季島家を去ることになった。



ーー春は、出会いと別れの季節。


桜が咲き始めた3月の終わり…。

住み込みメイドとしてお世話になった四季島家を…、あたしは卒業したのだった。