…だから。


「…お父さん。あたしも…帰るね」


自然と口から、そんな言葉がポツリと漏れた。


「おっ?桃香、いっしょに帰るのか?」


お父さんのその問いに、あたしは俯いたままコクンと頷く。


そのあたしの姿を見て、真奈美さんは手をパチンと叩いた。


「残念だわ〜、桃香さん。せっかく仲よくなれたっていうのに〜!」


表情は残念がっているけど、その声は甲高く弾みがあって、嬉しさが滲み出ている。