7月の下旬に差しかかる、体が汗ばむ暑い時期。

だけど、あたしが住むこの狭いボロアパートの部屋には、エアコンはない。


部屋の端に置いてある扇風機をつけて、その前でセミロングの髪をなびかせながら涼む。


1人でいる分には少し広く感じるアパートの部屋だけど、こんな生活にはもう慣れっこ。


幼い頃にお母さんが亡くなって以来、お父さんはあたしのために必死に仕事をしてくれた。