春兄の問いに、あいつは黙って首を横に振る。


…だったら、なんで隠れる必要があるんだよ。


すると、そこへ…。


「おい、モカ。夜景もきれいだぞっ」


冬里があいつを呼ぶ声が聞こえた。

その声に反応して、春兄の背中から顔を出す。


「ホント!?あたしも見るー!」


待ってましたと言わんばかりに、あいつは冬里のもとへ走っていった。

まるで、俺から逃げるように。