秋都に恐れをなした壮亮さんが、何度も首を縦に振るのを確認すると、ネクタイを離して突き飛ばした。


「…立てるか?」

「ごめん…。体に力が入らなくて…」

「そうか。じゃあ、つかまってろ」


そう言うと、秋都は軽々とあたしを抱きかかえた。


秋都にお姫様抱っこなんかされて…恥ずかしいはずなのに。

すぐ目の前にある秋都の横顔に、ドキッとしている自分がいる。