それは、マスターキーだった。


「壮亮くん。知らないようだから、教えてやるよ。このロイヤルクレストピアホテルは、四季島家とは先々代から付き合いのあるホテルだ。だから、支配人からマスターキーを借りることなんて、俺なら容易いんだよ」


秋都は、あたしを抱き寄せるほうとは逆の手で、マスターキーにつけられたチェーンに指を通し、クルクルと回して壮亮さんに見せびらかす。