…徐ろに、自分の唇に手を触れる。


夏兄とあいつがキスって…。

…そんなの許せねぇ。


たとえ、仕方のなかった人工呼吸とはいえ、俺のファーストキスをあの地味女なんかにくれてやったんだ。

このまま、あいつの思い通りになんてさせてたまるかっ。



俺は、業務で使っていたメガホンを冬里に向かって放り投げた。

飛んできたそれを反射的にキャッチした冬里が、首を傾げる。