頭に浮かんだことを打ち消すように、俺は最後の大仕事に集中した。



「おい、秋都」


突然、俺の名前が呼ばれる。

振り返ると、そこにいたのはさっきまで俺の頭の中にいた冬里だった。


「…冬里?あの地味女はいっしょじゃないのか?」

「モカなら、屋上だよ。花火が上がるのを待ってる」

「屋上?1人でか?」


冬里といっしょじゃなかったことに、なぜか少しだけホッとしてしまった。