向こうから、わざとぶつかってきたのはわかっている。


だけど、ここでどっちが悪いかなんて言っててもキリがない。


「宮野さん、…服っ」


紗和の声に気づいて自分の服に目を向けると、潰れたチョコレートケーキがベッタリとくっついていた。


これは、バイキングのデザートで出されていたもの。

さっきぶつかった拍子に、女の子の1人が持っていたチョコレートケーキを服につけられたようだ。