そう言われて、わけもわからないまま夏芽先輩に手を引かれた。


まるで、あたしを連れ去ってしまう王子様かのような振る舞い。

幸せすぎて、勝手にピンクのフィルターがかかって見えてしまった。


そんなあたしの後ろ姿を、般若のような顔で女の子たちに睨まれていたことに、あたしは気づいていなかった。



夏芽先輩がさっきイスに座っていたところまで連れてこられ、ひと口だけ飲んだ紙コップに入ったドリンクを渡される。