オレはただ、近道にこの路地裏を通ろうとしただけ。

そこに障害物があったから、どけただけ。


べつに、地味女を助けるためにきたんじゃねぇ。


男たちは、オレが『嵐舞』の総長だと知って、しっぽを巻いて逃げて行った。


「ってか、お前ってほんと…女かよ?」

「…えっ。どっからどう見ても、女じゃん」


地味子は、キョトンとしている。


「女ってフツー、ああいう状況ならピーピー泣き叫ぶもんだろ?」