それもそのはず。

陸上部のエースとかいうヤツが跪いて、地味女に赤いバラの花束を差し出しているのだから。


地味女も地味女でさっさと切り捨てればいいものの、やんわりとした断り方だ。

俺へのつんけんした態度とはまったく違う。


「あの〜…。ありがたいんですけど、あたし、好きな人がいるので…」


好きな人…か。

たぶん、夏兄のことだろうな。


あいつ、夏兄にゾッコンだもんな。