春陽さんはそう言って手を振ると、大学の図書館へ行くために外出された。


“あれから”、春陽さんはなにもしてこない。


あのときは、突然のことで少しドキッとしてしまった。

でもよくよく考えると、あんなに優しい春陽さんが、了解もなしに女の子にキスするわけがない。


だからおそらく、あれはただのあたしの思い込みだろうから、とくに気にしていない。



窓拭きや、家中の掃除機がけは裏の仕事。