「はいっ」


返事をしてみる。

きぬゑさんかな?


そう思っていると…。


「どう?メイドの仕事は?」

「春陽さん!」


ドアの隙間から顔を覗かせたのは、長男の春陽さんだった。


「慣れない仕事で疲れたでしょ?これ、よかったらどうぞ」


手渡されたのは、グラスに入った冷たい飲み物。

輪切りのレモンが沈んでいる。


「いいんですか?」

「どうぞっ」