叶君は、素敵な人で、優しくて、カッコいい。


そんな人間に、惹かれない訳がない。


でもね……無理だから。


私の寿命は、残り1ヶ月もないから。



「ありがとう……でもね、私が叶君達のところに居るのは、あと少しだけ」


「え?」


「もう少しで、出て行きます」



もっと一緒にいたいけど……これ以上一緒にいて、離れたくない気持ちが大きくなったらと思うと、とても怖い。



「なんで、だよ……」


「え……あ、えっと……ひ、引越し?」



うわ嘘ついちゃった……。


しかも疑問形……。



「嘘つけっ……顔が引きってる」



え……と……これ、どうしたらいい?



「ご、ごめんなさい……言えないんです」



私がそう言うと、叶君は はぁ……とため息をつき、『分かった』と言ってくれた。


ごめんなさい……。








あのことがあってからも、叶君は優しく接してくれた。


私はその優しさに触れる度、ある気持ちが芽生えていた。


その気持ちが大きくなるけど、私の病気も悪化していく。


薬の量も明らかに増えているし、心臓が痛くなる頻度も上がった。


結局出ていくタイミングが掴めず、あれこれ2週間もここにいる。


もう……いつ死んでもおかしくない。


さっきの説明でわからなかった人達にもう一度言うね。











私は、叶君を好きになりました。