また溢れる。
今まで我慢してた分、全部溢れ出す。
涙腺崩壊したっ……。
叶君は、なにか堪えきれなくなったように目を細めて、静かに目を伏せた。
「……俺、お前と会ったことある」
「え……?」
懐かしむような目で語り始めた叶君の話に、私は耳を傾けた。
私と……会ったことがある……?
「あれは……2年くらい前」
喧嘩をしていた叶君は、たくさんの人達を傷つけていた。
叶君のお母さんは、叶君がまだ幼い頃に病気で亡くなっていて、
お父さんは数年前に家を出て行ったんだって。
自分のストレスを発散するために人を傷つけて、叶君も辛かったらしい。
そんな時出逢ったのが、私だった。
笑顔で手を差し伸べて、叶君を救った。
私はサッパリ覚えてないけど、叶君はそれがずっと忘れられなくて、昨日の夜、私を見つけて、思わず声をかけてしまったと。
「2年前……私の両親が死ぬ前だね。私あの頃は活発で、おてんば娘だったの」
叶君みたいな人に……今の私だったら自分から話しかけるなんて絶対できない。
「お前の笑顔が、忘れられなかった。また会えたらいいのにって思ってた」
「っ……」
胸がトクンッと跳ねた。
「また会えた。俺がお前を、また笑顔にさせる。
今度は俺が、お前を救ってやるから」