ゴクンッと最後の一口を食べ終わって、叶君の方に体を向ける。
「あの、本当にありがとう」
「犬に餌あげるのは普通だろ」
私は叶君の犬なのか……と思ってしまったけど、でも。
いっか……叶君の犬なら、喜んで引き受ける。
「わんっ♪」
犬真似をしてみると、叶君は目を大きく丸くした。
あれ、下手くそだったかなっ……?
「可愛すぎだろ、俺の犬」
ククッと喉を鳴らしてそう言ってくれたので、嬉しくて顔がニヤける。
幸せだなぁ……。
久しぶりに、そう思えた。
「だったら叶君は、カッコよすぎる飼い主さんです」
カッコイイなんて言葉では表現できないくらいカッコいいもん。
「俺? 別にカッコよかねぇだろ」
あ、この人自覚ないんだっ……。
だから私は他のを考えてみた。
かっこいい以外の良いところを。
「じゃあ……優しい飼い主さんですね」
「優しいか?」
「もぅっ…… 何でもかんでも否定しないで下さいぃ〜っ」
プクゥーっと顔を膨らまして、少しだけキリッと睨んでみる。
「はいはい、そんなことしても可愛いだけだからな」
「お世辞は結構です」
「……無自覚」
呆れた顔を向けられて、私はキョトンとしてしまう。