諒side

ちゃんと覚えているよ。梓実のことを好きになった日のこと。そして初恋も梓実だったということも。

小学5年生の春、引っ越したばかりの町のチームに梓実がいた。
僕と梓実は同じ年だったけど、守備も攻撃も上手で僕が見惚れるほどだったのだ。

そのころはまだ、好きというか憧れを梓実には抱いていた。

試合になれば、僕はピッチャーで梓実はセカンド。いつも後ろを守ってくれてるということで安心感はすごくあった。

梓実は思ったことを言うタイプで僕はもちろん、上級生にも意見をする。
本当に気弱な僕とは正反対の性格だった。

夏の大会。決勝まで勝ち上がり、勝利まで目前というところでマウンドにあがっていた俺はワンアウト、満塁という最大のピンチを迎えていた。

ランナーが2人かえれば逆転サヨナラ負け。そんなのは嫌だ。
マウンドにみんなが集まり、