「セールで服たくさん買っちゃったから、お小遣いピンチなの!
だから、お父さんにゴマすっとこうと思って」
ふたつのお弁当箱をお弁当ハンカチで包む。
最近、父は私が持ってくるのが当たり前と思っているらしく、お弁当を持たずに家を出る。
まあ、だからゆっくり作れるのもあるけど。
お昼になって父の研究室に行くと、いつものように神長さんがうまか棒片手にパソコンに向かっていた。
「あの」
「はい?」
振り返ると神長さんはばりっとうまか棒に噛み折った。
「ああ、教授に弁当ね」
毎日のように来るもんだから、神長さんも慣れっこになっている。
「はい。
あと、これ」
「……?」
預かったお弁当の袋を父の机の上に置こうと、一歩踏み出した神長さんが怪訝そうに振り返る。
「よかったら、食べてください」
「……ありが、とう?」
再度、お弁当箱を押しつけると、不思議そうに神長さんの首が傾いた。
それだけでかっと身体中が熱くなって逃げるみたいに部屋を出てしまった。
……とりあえず、受け取ってくれた。
食べてくれるのかな。
私の心配をよそに、父は空のお弁当箱をふたつ下げて帰ってきた。
「今日のお弁当、どうだった?
私が作ったんだけど」
だから、お父さんにゴマすっとこうと思って」
ふたつのお弁当箱をお弁当ハンカチで包む。
最近、父は私が持ってくるのが当たり前と思っているらしく、お弁当を持たずに家を出る。
まあ、だからゆっくり作れるのもあるけど。
お昼になって父の研究室に行くと、いつものように神長さんがうまか棒片手にパソコンに向かっていた。
「あの」
「はい?」
振り返ると神長さんはばりっとうまか棒に噛み折った。
「ああ、教授に弁当ね」
毎日のように来るもんだから、神長さんも慣れっこになっている。
「はい。
あと、これ」
「……?」
預かったお弁当の袋を父の机の上に置こうと、一歩踏み出した神長さんが怪訝そうに振り返る。
「よかったら、食べてください」
「……ありが、とう?」
再度、お弁当箱を押しつけると、不思議そうに神長さんの首が傾いた。
それだけでかっと身体中が熱くなって逃げるみたいに部屋を出てしまった。
……とりあえず、受け取ってくれた。
食べてくれるのかな。
私の心配をよそに、父は空のお弁当箱をふたつ下げて帰ってきた。
「今日のお弁当、どうだった?
私が作ったんだけど」