心臓の音がどきどきと早い。
顔が、まるで火がついたみたいに熱い。
だって……笑った彼はすごく、可愛かったから。
結局、お弁当は預けた。
家に帰っていつもいない父に文句を言うついでに、彼のことを聞いてみる。
神長真之介、四回生。
変人の父が言うのもどうかと思うが、研究バカでそれ以外のことに興味がないらしい。
それから何度も父にお弁当を届けにいったが、神長さんはいつもうまか棒をバリバリ食べていた。
「それ、そんなにおいしいですか?」
「ん?
この世で一番おいしいと思うけど。
これさえあれば他はいらない」
パソコンに視線を向けたまま、神長さんの手は新しいうまか棒を開け、ばりっといい音を立てて囓る。
確かに、前にもらって食べたけど、おいしかった。
でも、毎日うまか棒ばかりってどうかと思うんだけど……。
その日、私はお弁当を作っていた。
「あらー、海里が作るなんて珍しい。
雨でも降るのかしら」
ふふっと笑う母はなんだか私が思うところと別のことを想像してそうで怖い。
顔が、まるで火がついたみたいに熱い。
だって……笑った彼はすごく、可愛かったから。
結局、お弁当は預けた。
家に帰っていつもいない父に文句を言うついでに、彼のことを聞いてみる。
神長真之介、四回生。
変人の父が言うのもどうかと思うが、研究バカでそれ以外のことに興味がないらしい。
それから何度も父にお弁当を届けにいったが、神長さんはいつもうまか棒をバリバリ食べていた。
「それ、そんなにおいしいですか?」
「ん?
この世で一番おいしいと思うけど。
これさえあれば他はいらない」
パソコンに視線を向けたまま、神長さんの手は新しいうまか棒を開け、ばりっといい音を立てて囓る。
確かに、前にもらって食べたけど、おいしかった。
でも、毎日うまか棒ばかりってどうかと思うんだけど……。
その日、私はお弁当を作っていた。
「あらー、海里が作るなんて珍しい。
雨でも降るのかしら」
ふふっと笑う母はなんだか私が思うところと別のことを想像してそうで怖い。