大量の私というのはちょっと違う、かな‥‥‥。
そう頭のどこかで冷静に思いながら、
大量の私__もとい大量の私を写した写真を眺めた。
間違いなくこのアングルは盗撮写真だ。
そんな写真が部屋のあちこちに貼られていた。
しかも私の部屋の写真なども入っていて、気分が悪さがこみ上げてきた。
「ホントはこんなところに連れてきたくなかった。」
そう、隣の委員長がポツリと呟いた。
「こんなにアイツがすみれちゃんに劣情を持っているなんて、言いたくなかったから。」
「‥‥‥。」
今までのことは‥‥‥、やっぱり小田巻くんが?
あの『犯人じゃない』って言葉はウソで。
茜と委員長のアレを目撃させたのだって、仕組んだことで。
私と委員長がくっついたから許せなかったということ?
自分で『盗撮した』って言ったのは自分にかまってほしいから?
「バカみたい‥‥‥。」
小田巻くんがというより、自分がどうしようもないバカに思えてきた。
何が小田巻くんは『つらそう』だ。
何が小田巻くんは『優しい』だ。
何が小田巻くんは『傷つけない』だ。
こんなおぞましいものを‥‥‥!!
「これはホント、なの?」
思わず尋ねてしまった。
違うとまだ信じたがっている私がいたから。
「これは‥‥‥、現実だよ。」
「‥‥‥。」
げん、じつ‥‥‥。
これが、現実‥‥‥。
そう思ったとき、吐き気がした。
その部屋に踏み入れたいという気持ちが全く起きない。
むしろ早く帰りたい。
「帰る‥‥‥。」
「‥‥‥そっか。早く、帰ろうね。」
早く、帰りたいな。
早く。