「──がい……っ、お願い、開けて……っ!!」

 ダン、ダン、と何度も扉を叩く拳にはいつしか血がうっすらと滲み、じん…と痺れてしまって、もはや感覚もない。

 それに加え、今は冬だから。
 凍えるような空気が、肌から徐々に体温も奪っていく。

「……っ、はぁ………」

 痛いし、寒い。

 衣なんて、まともに羽織っていないから。
 この冬の最中、薄手の白単衣一枚。
 もちろん、素足。
 防寒具なんて物も、何一つとしてない。

 この身を引き裂くような凍える空気が、ゆっくりと意識までも奪っていくようだ。