「ヤオ、もう、行こうか。」
マイケルとヤオは、
錆びた指輪を
僅かなウーリに替えると、
ギルドテントの
炊き出し火を借りて
貝を焼き、
ヤオの親がいる集落に
向かった。
ギルドで借りた雨フードを、
もう1度纏ったのは、
雨足が早くなってきたからだ。
葉っぱに焼きたての貝を
包んで、
ヤオの家が見えて来ると
マイケルは隣で手を繋ぐヤオに
伝える。
「ヤオ、今日の分は焼き貝と、
ウーリがこれだけなんだけど、
持っていって、ロイとラネに
渡してくれるかな。じゃあ、
また明日ね。雨フードも明日
ギルドに返せばいいからね。」
マイケルは、
ヤオのまだ小さい手に
ウーリを持たせて、
懐の隙間に貝の包みを
冷めない様に、
そして冷えたヤオを暖める為に
入れ込んだ。
今日はロイとラネ、
2人の蔑みの視線を
受ける余裕が、
気持ちも稼ぎにも無い。
「マイケルしゃんは?」
「今日は、もう巡礼ベッドに
ならぶね。雨も降ってるし。」
逃げたい意識と、
幼いヤオに託してしまう罪悪感を
隠して
マイケルは、ヤオに答えた。
あっという間に
目の前には、朝に来た戸口。
窓から漏れる小屋の明かりが、
今日ぐらい、
ヤオに優しくしてくれたらと
祈りつつ、
笑顔でヤオに手を振って、
マイケルは
元来た道を独りで歩いた。
ザーーーーーーーーーーーーー
一層雨が酷くなって雨フードを
叩く。
「うーん。とうとう、何もない
日が来ちゃたなあ。どうしよ」
マイケルは、
足早に歩きながら、
腰に下げた道具入れを探る。
「あ、ラッキーだ。」
朝にルルがくれた
トウモロコシスコーンの、
トウモロコシが1粒見つかった。
自分の口に入れようと
指先を見た
マイケルは、
繁々と手を顔の前にかざす。
「手、ずいぶん汚れたなあ。」
元世界では1週間に1度、
ネイルサロンに通っていた爪は、
栄養不足か表面がザラついて、
爪の間に黒い汚れも
取れずに付いている。
「手に、生活水準が出るって、
本当だよね。参ったなあー。」
雨で、
指とトウモロコシを洗って
口に、
たった1粒を含む。
こんな日は
さすがのマイケルも気分が
落ち込んで、全然
トウモロコシの香ばしさだけでは
空腹の慰めにならない。
「あんまり早く帰ると、巡礼
賄いの匂いで、いてらんないな」
集落の外れにある大木の下で、
時間潰しに
雨宿りをしながら、
マイケルは
両手に雨を貯めて
雨水を、
何度も何度も
渇きでは無いものを飲み干す。
大木は葉が繁り、雨が落ちない。
マイケルは
雨が染み入ってきた雨フードを
一旦脱いで枝に干した。
雨水では到底
空腹は満たされなくて、
この場所に
座り込む。
「枝とか、石でも嘗めるかー。」
目の前の小石を見つけて
マイケルが呟いた時、
ふと、
雨音に混じって足音が
聴こえ、
「ヤオ!!どうしたの?!」
顔を上げると、小さいヤオと
視線が合った。
「マイケルしゃん!こゅえ、」
雨フードを被って
マイケルを
ヤオが追いかけてきたのだ。
そのまま
マイケルにヤオが、
濡れた手を付き出してくる。
「これ、、ヤオの分でしょ?」
さっきヤオに持たせた焼き貝が、
雨の中で
1つ握られていた。
「わけわけなの。」
屈託のない顔でヤオが、
抜けた歯の隙間を
見せて笑う。
たった1つの貝の身を
分けて食べる為に
自分を追いかけて来たのかと、
マイケルは
ヤオの笑顔に目を見開いた。
「ありがとう、、分けよう、」
殻から外せば、
親指ほどの身しかない。
それでも、
其を半分にナイフで切って
マイケルはヤオに渡す。
渡す手は情けなさで震えるのに
気がつかない
ヤオは、
大切に両手で受けとると、
小さな身を、
口に入れた。
「良く噛んで、なるべく直ぐに
食べないようにしようか。」
「ん!」
たまに、2人で雨の水を
手に掬って
貝を頬張ったまま口に入れる。
しこたま、
それを繰り返して、
口から貝身は無くなっていた。
ザーーーーーーーーーーーーー
ザーーーーーーーーーーーーー
『クーーー』
降り頻る雨の音に紛れて
ヤオの空腹を知らせる音が
鳴ると、
並んで
木の根元に座り続けていた
マイケルはヤオに告げた。
「ヤオ、また送るから、そろそろ
帰ろうっか?家なら、まだ何か
食べる物あるだろうし、ね?」
「マイケルしゃん、まってる。」
話方こそ拙いだけで
聡いヤオは、
マイケルが
時間潰しをしている
事に
気が付いている。
「ヤオ、、あれだけじゃ、
お腹すくよね。そーだな。あ、
これならあるけど。嘗めるだけ
だけど口淋しのが紛れるよ。」
さすがに今日は食べるにも事欠く
状態なのを幼子ヤオに
知られたかと苦笑しながら、
マイケルは懐に仕舞っていた
丸い白い石・『水龍の喉仏』を
取り出して
飴の代わりと、
ヤオの口に放りこんだ。
「唾液を出すだけなんだけど。」
魚の様な水龍の骨石の1コ。
ヤオは目を白黒させて驚いたが、
にへっと口を開け入れて
コロコロと頬を膨らませながら
「雨、まだあゆの。」と
呟き
大人しく舐めていた。
ザーーーーーーーーーーーーー
ザーーーーーーーーーーーーー
「少し小降りになったら、あたし
もギルドに帰るから、ヤオも
帰るよ。ヤオ?立てる?」
これ以上木の下に留まると、
夜になって、
今度は集落からギルドへ戻るのに
松明がいる。
頃合いだろうと、マイケルが
ヤオに向いた時、
「マイケルしゃん!
口、なんか、ブルンて!」
ヤオが頬を膨らませたまま、
目を見開いていた。
「やーかいの。」
口で転がす石から光が漏れ
その変化に、
ヤオが 身動ぐのが解る。
「な、何、これ、、」
ヤオの開けた口の中で
真っ白い石が、
ピンクのゼリー玉の如く発光
している。
「ヤオ、口からだしてくれる?」
恐る恐るマイケルが、
ヤオの口から発光玉を取り出し
掌に乗せる。
ヤオの涎のせいなのか、
ジュワリと湿っぽい玉は、
石の固さを崩して柔らかみを
帯びている。
「きでぃなの。」
ヤオが爛々とした瞳を、
マイケルの持つ発光玉に向けた
時、
「あ!」
マイケルの掌に、ジンワリと
知っている感触が浸食する。
「こ、れ、付加の感じと同じ!」
マイケルは額に発光玉を当てて、
額から息を吸い込む様に
深呼吸をする。
途端に、自分の脳と目がクリアに
繋がる感覚が襲った。
「『遠見』っ?!」
マイケルの思考が
凄まじく活性して答えを導く!
この世界の魔力は、
人に分ける『付加』ができ、
付加された相手が
一時的に能力を取り込む事が
出来るのだ、が、
ヤオはまだ 幼く、
魔力を付加する訓練をも
学校に通えない為に、
出来ない。
「それを仮に今させた?」
しかも、人ではなく、石に。
そう、水龍の喉仏の骨に!!!
「そのね、ブルンってなってるの
さっきの石が ヤオの魔力を
取り込んで かわったから?」
マイケルは茫然自失で、
目の前のヤオに言うように、
自分に言い聞かせるように
導き出した事を言葉に
乗せる。
ザーーーーーーーーーーーーー
ザーーーーーーーーーーーーーザーーーーーーーーーーーーー
「人と、知能がある、、、
翼龍、、には 相互魔力の付加が
で、き、る、、って、そうか」
そもそも、魚は鳴かない。
鳴く生き物には喉仏の骨はある。
自分が知っている深海魚、
『皇带鱼』とは見た目は同じでも
根本的に違って、アレは
声を発する生き物だということ。
より顔に近い顔は、
知性の現れだったのならば、、
ザーーーーーーーーーーーーー
ザーーーーーーーーーーーーーザーーーーーーーーーーーーー
ずっと考えて試してきた。
ヤオの様な奴隷の子供達が、
魔力電池の扱いを受けない為に、
「歩く電池にならないで、
体力あるうちに魔力を貯めて」
見えない水龍。
魔力がない自分には見えて、
触れば
魔力のある者にも見える。
あの水龍は、
ザーーーーーーーーーーーーー
ザーーーーーーーーーーーーーザーーーーーーーーーーーーー
「それを、、売れれば、
そして、 加工できれば、、?」
不思議な緣だと思う。
自分の掌に発光するピンクの玉。
ジンワリと浸食するエネルギー。
ピントを合わせれば、
ギルドのカウンターで
自分の姿を入り口に探す、
ルルの表情さえ、
見える!!
ザーーーーーーーーーーーーー
ザーーーーーーーーーーーーーザーーーーーーーーーーーーー
「ああああああああああああ
あああああーーーっっっ!!!
ああああああああああああ
あああああーーーっっっ!!!
ああああああああああああ
あああああーーーっっっ!!!
ああああああああああああ
あああああーーーっっっ!!!」
雨足が群像の如く叩きつけ始めた
空の下、
「マイケルしゃん?!!」
仰天するヤオの声を後ろに、
マイケルは 木の下から
飛び出して、
天に向かって両拳を振り上げた!
「見える!!見えるんだよ!」
あ、あ、、見える!!!
海底に群れなす水龍の大群が!!
そう!見える!!!
雨嵐に立つバリアロードの石門が!
思いを寄せれば!見える!!
振り上げた拳の中に光る石から
腕を伝って流れる力は
染み透りって、
暖く、優しい、純粋な、
「これが!!ヤオの力っ!!!」
容赦なく身体に流れる雨が
マイケルの身体から
興奮で
蒸気に変わって、白く昇って!
マイケルの両目からも筋になる。
「ヤオいくよ。すぐ、戻る。」
「どこゆくの?」
「もちろん、ギルド長に会う。
世界を変える、変えてやる。」
ずぶ濡れの雨フードと、
ヤオを横抱きにして
マイケルは
全力で雨嵐を駆け出した!
マイケルとヤオは、
錆びた指輪を
僅かなウーリに替えると、
ギルドテントの
炊き出し火を借りて
貝を焼き、
ヤオの親がいる集落に
向かった。
ギルドで借りた雨フードを、
もう1度纏ったのは、
雨足が早くなってきたからだ。
葉っぱに焼きたての貝を
包んで、
ヤオの家が見えて来ると
マイケルは隣で手を繋ぐヤオに
伝える。
「ヤオ、今日の分は焼き貝と、
ウーリがこれだけなんだけど、
持っていって、ロイとラネに
渡してくれるかな。じゃあ、
また明日ね。雨フードも明日
ギルドに返せばいいからね。」
マイケルは、
ヤオのまだ小さい手に
ウーリを持たせて、
懐の隙間に貝の包みを
冷めない様に、
そして冷えたヤオを暖める為に
入れ込んだ。
今日はロイとラネ、
2人の蔑みの視線を
受ける余裕が、
気持ちも稼ぎにも無い。
「マイケルしゃんは?」
「今日は、もう巡礼ベッドに
ならぶね。雨も降ってるし。」
逃げたい意識と、
幼いヤオに託してしまう罪悪感を
隠して
マイケルは、ヤオに答えた。
あっという間に
目の前には、朝に来た戸口。
窓から漏れる小屋の明かりが、
今日ぐらい、
ヤオに優しくしてくれたらと
祈りつつ、
笑顔でヤオに手を振って、
マイケルは
元来た道を独りで歩いた。
ザーーーーーーーーーーーーー
一層雨が酷くなって雨フードを
叩く。
「うーん。とうとう、何もない
日が来ちゃたなあ。どうしよ」
マイケルは、
足早に歩きながら、
腰に下げた道具入れを探る。
「あ、ラッキーだ。」
朝にルルがくれた
トウモロコシスコーンの、
トウモロコシが1粒見つかった。
自分の口に入れようと
指先を見た
マイケルは、
繁々と手を顔の前にかざす。
「手、ずいぶん汚れたなあ。」
元世界では1週間に1度、
ネイルサロンに通っていた爪は、
栄養不足か表面がザラついて、
爪の間に黒い汚れも
取れずに付いている。
「手に、生活水準が出るって、
本当だよね。参ったなあー。」
雨で、
指とトウモロコシを洗って
口に、
たった1粒を含む。
こんな日は
さすがのマイケルも気分が
落ち込んで、全然
トウモロコシの香ばしさだけでは
空腹の慰めにならない。
「あんまり早く帰ると、巡礼
賄いの匂いで、いてらんないな」
集落の外れにある大木の下で、
時間潰しに
雨宿りをしながら、
マイケルは
両手に雨を貯めて
雨水を、
何度も何度も
渇きでは無いものを飲み干す。
大木は葉が繁り、雨が落ちない。
マイケルは
雨が染み入ってきた雨フードを
一旦脱いで枝に干した。
雨水では到底
空腹は満たされなくて、
この場所に
座り込む。
「枝とか、石でも嘗めるかー。」
目の前の小石を見つけて
マイケルが呟いた時、
ふと、
雨音に混じって足音が
聴こえ、
「ヤオ!!どうしたの?!」
顔を上げると、小さいヤオと
視線が合った。
「マイケルしゃん!こゅえ、」
雨フードを被って
マイケルを
ヤオが追いかけてきたのだ。
そのまま
マイケルにヤオが、
濡れた手を付き出してくる。
「これ、、ヤオの分でしょ?」
さっきヤオに持たせた焼き貝が、
雨の中で
1つ握られていた。
「わけわけなの。」
屈託のない顔でヤオが、
抜けた歯の隙間を
見せて笑う。
たった1つの貝の身を
分けて食べる為に
自分を追いかけて来たのかと、
マイケルは
ヤオの笑顔に目を見開いた。
「ありがとう、、分けよう、」
殻から外せば、
親指ほどの身しかない。
それでも、
其を半分にナイフで切って
マイケルはヤオに渡す。
渡す手は情けなさで震えるのに
気がつかない
ヤオは、
大切に両手で受けとると、
小さな身を、
口に入れた。
「良く噛んで、なるべく直ぐに
食べないようにしようか。」
「ん!」
たまに、2人で雨の水を
手に掬って
貝を頬張ったまま口に入れる。
しこたま、
それを繰り返して、
口から貝身は無くなっていた。
ザーーーーーーーーーーーーー
ザーーーーーーーーーーーーー
『クーーー』
降り頻る雨の音に紛れて
ヤオの空腹を知らせる音が
鳴ると、
並んで
木の根元に座り続けていた
マイケルはヤオに告げた。
「ヤオ、また送るから、そろそろ
帰ろうっか?家なら、まだ何か
食べる物あるだろうし、ね?」
「マイケルしゃん、まってる。」
話方こそ拙いだけで
聡いヤオは、
マイケルが
時間潰しをしている
事に
気が付いている。
「ヤオ、、あれだけじゃ、
お腹すくよね。そーだな。あ、
これならあるけど。嘗めるだけ
だけど口淋しのが紛れるよ。」
さすがに今日は食べるにも事欠く
状態なのを幼子ヤオに
知られたかと苦笑しながら、
マイケルは懐に仕舞っていた
丸い白い石・『水龍の喉仏』を
取り出して
飴の代わりと、
ヤオの口に放りこんだ。
「唾液を出すだけなんだけど。」
魚の様な水龍の骨石の1コ。
ヤオは目を白黒させて驚いたが、
にへっと口を開け入れて
コロコロと頬を膨らませながら
「雨、まだあゆの。」と
呟き
大人しく舐めていた。
ザーーーーーーーーーーーーー
ザーーーーーーーーーーーーー
「少し小降りになったら、あたし
もギルドに帰るから、ヤオも
帰るよ。ヤオ?立てる?」
これ以上木の下に留まると、
夜になって、
今度は集落からギルドへ戻るのに
松明がいる。
頃合いだろうと、マイケルが
ヤオに向いた時、
「マイケルしゃん!
口、なんか、ブルンて!」
ヤオが頬を膨らませたまま、
目を見開いていた。
「やーかいの。」
口で転がす石から光が漏れ
その変化に、
ヤオが 身動ぐのが解る。
「な、何、これ、、」
ヤオの開けた口の中で
真っ白い石が、
ピンクのゼリー玉の如く発光
している。
「ヤオ、口からだしてくれる?」
恐る恐るマイケルが、
ヤオの口から発光玉を取り出し
掌に乗せる。
ヤオの涎のせいなのか、
ジュワリと湿っぽい玉は、
石の固さを崩して柔らかみを
帯びている。
「きでぃなの。」
ヤオが爛々とした瞳を、
マイケルの持つ発光玉に向けた
時、
「あ!」
マイケルの掌に、ジンワリと
知っている感触が浸食する。
「こ、れ、付加の感じと同じ!」
マイケルは額に発光玉を当てて、
額から息を吸い込む様に
深呼吸をする。
途端に、自分の脳と目がクリアに
繋がる感覚が襲った。
「『遠見』っ?!」
マイケルの思考が
凄まじく活性して答えを導く!
この世界の魔力は、
人に分ける『付加』ができ、
付加された相手が
一時的に能力を取り込む事が
出来るのだ、が、
ヤオはまだ 幼く、
魔力を付加する訓練をも
学校に通えない為に、
出来ない。
「それを仮に今させた?」
しかも、人ではなく、石に。
そう、水龍の喉仏の骨に!!!
「そのね、ブルンってなってるの
さっきの石が ヤオの魔力を
取り込んで かわったから?」
マイケルは茫然自失で、
目の前のヤオに言うように、
自分に言い聞かせるように
導き出した事を言葉に
乗せる。
ザーーーーーーーーーーーーー
ザーーーーーーーーーーーーーザーーーーーーーーーーーーー
「人と、知能がある、、、
翼龍、、には 相互魔力の付加が
で、き、る、、って、そうか」
そもそも、魚は鳴かない。
鳴く生き物には喉仏の骨はある。
自分が知っている深海魚、
『皇带鱼』とは見た目は同じでも
根本的に違って、アレは
声を発する生き物だということ。
より顔に近い顔は、
知性の現れだったのならば、、
ザーーーーーーーーーーーーー
ザーーーーーーーーーーーーーザーーーーーーーーーーーーー
ずっと考えて試してきた。
ヤオの様な奴隷の子供達が、
魔力電池の扱いを受けない為に、
「歩く電池にならないで、
体力あるうちに魔力を貯めて」
見えない水龍。
魔力がない自分には見えて、
触れば
魔力のある者にも見える。
あの水龍は、
ザーーーーーーーーーーーーー
ザーーーーーーーーーーーーーザーーーーーーーーーーーーー
「それを、、売れれば、
そして、 加工できれば、、?」
不思議な緣だと思う。
自分の掌に発光するピンクの玉。
ジンワリと浸食するエネルギー。
ピントを合わせれば、
ギルドのカウンターで
自分の姿を入り口に探す、
ルルの表情さえ、
見える!!
ザーーーーーーーーーーーーー
ザーーーーーーーーーーーーーザーーーーーーーーーーーーー
「ああああああああああああ
あああああーーーっっっ!!!
ああああああああああああ
あああああーーーっっっ!!!
ああああああああああああ
あああああーーーっっっ!!!
ああああああああああああ
あああああーーーっっっ!!!」
雨足が群像の如く叩きつけ始めた
空の下、
「マイケルしゃん?!!」
仰天するヤオの声を後ろに、
マイケルは 木の下から
飛び出して、
天に向かって両拳を振り上げた!
「見える!!見えるんだよ!」
あ、あ、、見える!!!
海底に群れなす水龍の大群が!!
そう!見える!!!
雨嵐に立つバリアロードの石門が!
思いを寄せれば!見える!!
振り上げた拳の中に光る石から
腕を伝って流れる力は
染み透りって、
暖く、優しい、純粋な、
「これが!!ヤオの力っ!!!」
容赦なく身体に流れる雨が
マイケルの身体から
興奮で
蒸気に変わって、白く昇って!
マイケルの両目からも筋になる。
「ヤオいくよ。すぐ、戻る。」
「どこゆくの?」
「もちろん、ギルド長に会う。
世界を変える、変えてやる。」
ずぶ濡れの雨フードと、
ヤオを横抱きにして
マイケルは
全力で雨嵐を駆け出した!