「海に、何かいる、、
それも凄い大群で、、」
山から海に近づくにつれて
遠くからもわかる
藩島海域の異変。
「海が、、膨らんでみえる!」
海原の向こうには
鮮やかに掛かる虹。
けれども、
奥には
新たな黒雲が押し寄せて見える。
マイケルの目には
海から
大量の生き物が放つ
エネルギーが
はち切れんばかり
水面張力を起こして
溢れんばかりだ。
「土肝を抜かれるってやつね。」
マイケルは呟いて、
首を傾げるヤオと海へ降りた。
浜辺は、
次の嵐が来る前にと
アンバーを探す島民で
賑わい祭になっている。
「何あれ?テントなんか立て
ちゃって。まるでサーカスね」
「マイケルしゃん!あれ、
ラジさんとこの。あそこ、すぐ
ウーリ、してくれる。いこ!」
大きなフォーク等を手にする
島民の賑わいに
埋もれて
大きめの白いテントが
張られているのが
見えた。
マイケルは手をかざして
市場さながらの
活気あるテントを覗き込む。
「なるほどねー、出張買い取りの
テントってわけね。しっかり
してるよね、ギルドってさ。」
ヤオと近づくと、
買い取りをまとめる副長レサが
片眼鏡を擦りつつ、
マイケル達に気付いた。
「おう、マイケル。お前、今頃
来ても、いい場所は取られて
残ってないぞ?どうすんだ。」
「いいの、アンバーより、今日の
食事だもん。海で魚とるから」
マイケルは、
レサの前に置かれた
天然の琥珀、
『アンバー』を一瞥すると、
少し
残念そうに肩をすくめた。
そのアンバーは、まるで
太古のタイムカプセルのような
虫入り、、琥珀だ。
樹脂の化石となって
掌の半分はあろう大物。
元世界で見た
バルティックアンバーを思わせる
「すごいね、中の虫の羽が、
七色に閉じ込められてるなんて」
マイケルは、
片眼鏡を布で拭くレサに
閉じ込めた
気泡が
太陽のスパンコールになる
万華鏡のようなアンバーを
指差して言った。
「お前さんも、採れるかもな。」
レサが、意地悪く言う。
今更横槍を入れて
場所を取るつもりもない。
「無理でしょ。今からじゃ。」
ため息をつくマイケルの横で
どんどん買い取りが
されていくのだから。
「じゃ、毎度あり。」
マモの父親が
小さいアンバーを持ってきた
青年に笑顔でウーリを
渡していた。
「どれ、視てやる!」
今度は、そのアンバーを
素早く手に取って
片眼鏡で覗くと、机には並べずに
レサは
後ろに幾つも並ぶ木箱の
1つに入れた。と、
「やめとけ。嵐の前後は海の
水がへんな流れをして、
身動きがとれない。溺れるぞ」
マイケルに忠告して、
珍しくアンバーの選別という
内勤仕事をする
潜水達人モケを顎でしゃくった。
「え、潜水のモケで!不味いな。
でも、今日はウーリも無いから
魚捕らないと、食事ないのよ」
すると、よっぽど
マイケルの声が大きかったのか
鼻の下を人差し指で
擦りながら
モケがわざわざやって来て
マイケルに教えた。
「なら、なるべく岩陰に沿って
いけ。まだ動けるだろ。でも
本当に、なるべくやめとけよ」
そして何とも言えない表情を
モケは見せて、
腰に両手を当てて
海を見つめる。
その顔から、
潜水を能力に持ち
海洋民族の自分が
潜れない不可解さに
ジレンマを感じている
モケの気持ちに
マイケルは気がついた。
やっぱり?これは、
もしかして、、
「ありがと、背に腹は変えない
からさ。岩陰からで行くよ。」
そのモケの様子から
マイケルに見える景色と
モケ達が、見える景色は
天と地ほどに 違う事を確信した。
マイケルはモケに礼を言って
一端
テントから離れる。
「マイケルしゃん、、」
見ると手を繋ぐ
ヤオが不安そうにマイケルを
見上げている。
「大丈夫だよ、ヤオ。あたしが
潜るの上手いって知ってる
でしょ?ほら、マモが来てる。
マモと、一緒にいてて。」
少し歩いた砂浜から、
マイケルとヤオを見つけた
マモが
大きく手を振って来た。
「ヤオ!マイケル!おそいな!」
少し背が伸びたマモが
目をクリクリさせてマイケルを
揶揄ってくるのを
マイケルは作り笑顔の圧で、
いなす。
「うるさいよ、マモ。ねぇヤオを
お願い出来る?あたし、潜って
魚捕らなきゃだからさー。」
「いいけどよ。本当にもぐる
のかよ?あらしは、泳げない
って、兄さん達がいうんだぞ」
「うん。だから、モケから
アドバイスもらった。ほんと
潜んないと、ご飯無しなのよ」
マモも小さいながらも、
マイケル達の事情を知っている。
口を歪ませて、
「わかった。じゃ、ヤオ!
一緒にアンバーさがそぜ!」
ヤオの頭をモフモフとした。
「よろしくね!」
「マイケルしゃん、きゆつけて」
「おぼれんなよ!」
小さくてもしっかり者のマモに
任せれば安心と、
マイケルは
2人で手を繋いで浜を走る
姿を見届けて海に視線を
戻すと
大きく息をつく。
間違いない。
「きっとこれ、、
皆んなには見えてないって
ことだよね。そりゃ、泳げない
ってのよ。さっきの『皇带鱼』
もどきが、ウジャウジャいるん
だもん。やっぱり海から川を
昇ってきてたってことか。」
マイケルが見る光景は、
普段の海底遺構が眠る
藩島の海とは
似ても似つかわない姿だった。
海から川を目指して押し寄せる
銀色の長い魚で
水が見えない迄に
なっているのだ。
こんな海に無防備に入れば、
まさに
魚が満帆で引き上げた
定置網にダイブするような
状態だ!!
魚の過密できっと窒息する!!
残念!どうして、食べれないの!
こいつら!!
マイケルは浜を見回し、
モケが教えてくれた岩陰沿いに
海に入ってゆく。
体の横を
塊になる『皇带鱼』モドキが
容赦なく
陸目掛けて
自ら
飛沫になったかにビチビチ
飛び跳ねながら
豪速球の列車みたいに通過して
渦潮の勢いで泳ぎ昇る。
その水圧が凄まじい!!
「さてと、行きますかっ!」
マイケルは顔を両手で
パンっ!!
と叩いて喝を入れると、
「フホーーイ、ホーーイ、」
スムビソリ、磯笛の呼吸でもって
魚まみれで
『皇带鱼』モドキ列車高速道な
海に
トプンと潜る。
『 Ouuooon Ouuoun Ouuoooon Ouoon゜゜
゜ Ouuooon Ooun Ouuoooon ゜゜ ゜ ゜ ゜ ゜ 』
゜ ゜
゜ ゜
それも凄い大群で、、」
山から海に近づくにつれて
遠くからもわかる
藩島海域の異変。
「海が、、膨らんでみえる!」
海原の向こうには
鮮やかに掛かる虹。
けれども、
奥には
新たな黒雲が押し寄せて見える。
マイケルの目には
海から
大量の生き物が放つ
エネルギーが
はち切れんばかり
水面張力を起こして
溢れんばかりだ。
「土肝を抜かれるってやつね。」
マイケルは呟いて、
首を傾げるヤオと海へ降りた。
浜辺は、
次の嵐が来る前にと
アンバーを探す島民で
賑わい祭になっている。
「何あれ?テントなんか立て
ちゃって。まるでサーカスね」
「マイケルしゃん!あれ、
ラジさんとこの。あそこ、すぐ
ウーリ、してくれる。いこ!」
大きなフォーク等を手にする
島民の賑わいに
埋もれて
大きめの白いテントが
張られているのが
見えた。
マイケルは手をかざして
市場さながらの
活気あるテントを覗き込む。
「なるほどねー、出張買い取りの
テントってわけね。しっかり
してるよね、ギルドってさ。」
ヤオと近づくと、
買い取りをまとめる副長レサが
片眼鏡を擦りつつ、
マイケル達に気付いた。
「おう、マイケル。お前、今頃
来ても、いい場所は取られて
残ってないぞ?どうすんだ。」
「いいの、アンバーより、今日の
食事だもん。海で魚とるから」
マイケルは、
レサの前に置かれた
天然の琥珀、
『アンバー』を一瞥すると、
少し
残念そうに肩をすくめた。
そのアンバーは、まるで
太古のタイムカプセルのような
虫入り、、琥珀だ。
樹脂の化石となって
掌の半分はあろう大物。
元世界で見た
バルティックアンバーを思わせる
「すごいね、中の虫の羽が、
七色に閉じ込められてるなんて」
マイケルは、
片眼鏡を布で拭くレサに
閉じ込めた
気泡が
太陽のスパンコールになる
万華鏡のようなアンバーを
指差して言った。
「お前さんも、採れるかもな。」
レサが、意地悪く言う。
今更横槍を入れて
場所を取るつもりもない。
「無理でしょ。今からじゃ。」
ため息をつくマイケルの横で
どんどん買い取りが
されていくのだから。
「じゃ、毎度あり。」
マモの父親が
小さいアンバーを持ってきた
青年に笑顔でウーリを
渡していた。
「どれ、視てやる!」
今度は、そのアンバーを
素早く手に取って
片眼鏡で覗くと、机には並べずに
レサは
後ろに幾つも並ぶ木箱の
1つに入れた。と、
「やめとけ。嵐の前後は海の
水がへんな流れをして、
身動きがとれない。溺れるぞ」
マイケルに忠告して、
珍しくアンバーの選別という
内勤仕事をする
潜水達人モケを顎でしゃくった。
「え、潜水のモケで!不味いな。
でも、今日はウーリも無いから
魚捕らないと、食事ないのよ」
すると、よっぽど
マイケルの声が大きかったのか
鼻の下を人差し指で
擦りながら
モケがわざわざやって来て
マイケルに教えた。
「なら、なるべく岩陰に沿って
いけ。まだ動けるだろ。でも
本当に、なるべくやめとけよ」
そして何とも言えない表情を
モケは見せて、
腰に両手を当てて
海を見つめる。
その顔から、
潜水を能力に持ち
海洋民族の自分が
潜れない不可解さに
ジレンマを感じている
モケの気持ちに
マイケルは気がついた。
やっぱり?これは、
もしかして、、
「ありがと、背に腹は変えない
からさ。岩陰からで行くよ。」
そのモケの様子から
マイケルに見える景色と
モケ達が、見える景色は
天と地ほどに 違う事を確信した。
マイケルはモケに礼を言って
一端
テントから離れる。
「マイケルしゃん、、」
見ると手を繋ぐ
ヤオが不安そうにマイケルを
見上げている。
「大丈夫だよ、ヤオ。あたしが
潜るの上手いって知ってる
でしょ?ほら、マモが来てる。
マモと、一緒にいてて。」
少し歩いた砂浜から、
マイケルとヤオを見つけた
マモが
大きく手を振って来た。
「ヤオ!マイケル!おそいな!」
少し背が伸びたマモが
目をクリクリさせてマイケルを
揶揄ってくるのを
マイケルは作り笑顔の圧で、
いなす。
「うるさいよ、マモ。ねぇヤオを
お願い出来る?あたし、潜って
魚捕らなきゃだからさー。」
「いいけどよ。本当にもぐる
のかよ?あらしは、泳げない
って、兄さん達がいうんだぞ」
「うん。だから、モケから
アドバイスもらった。ほんと
潜んないと、ご飯無しなのよ」
マモも小さいながらも、
マイケル達の事情を知っている。
口を歪ませて、
「わかった。じゃ、ヤオ!
一緒にアンバーさがそぜ!」
ヤオの頭をモフモフとした。
「よろしくね!」
「マイケルしゃん、きゆつけて」
「おぼれんなよ!」
小さくてもしっかり者のマモに
任せれば安心と、
マイケルは
2人で手を繋いで浜を走る
姿を見届けて海に視線を
戻すと
大きく息をつく。
間違いない。
「きっとこれ、、
皆んなには見えてないって
ことだよね。そりゃ、泳げない
ってのよ。さっきの『皇带鱼』
もどきが、ウジャウジャいるん
だもん。やっぱり海から川を
昇ってきてたってことか。」
マイケルが見る光景は、
普段の海底遺構が眠る
藩島の海とは
似ても似つかわない姿だった。
海から川を目指して押し寄せる
銀色の長い魚で
水が見えない迄に
なっているのだ。
こんな海に無防備に入れば、
まさに
魚が満帆で引き上げた
定置網にダイブするような
状態だ!!
魚の過密できっと窒息する!!
残念!どうして、食べれないの!
こいつら!!
マイケルは浜を見回し、
モケが教えてくれた岩陰沿いに
海に入ってゆく。
体の横を
塊になる『皇带鱼』モドキが
容赦なく
陸目掛けて
自ら
飛沫になったかにビチビチ
飛び跳ねながら
豪速球の列車みたいに通過して
渦潮の勢いで泳ぎ昇る。
その水圧が凄まじい!!
「さてと、行きますかっ!」
マイケルは顔を両手で
パンっ!!
と叩いて喝を入れると、
「フホーーイ、ホーーイ、」
スムビソリ、磯笛の呼吸でもって
魚まみれで
『皇带鱼』モドキ列車高速道な
海に
トプンと潜る。
『 Ouuooon Ouuoun Ouuoooon Ouoon゜゜
゜ Ouuooon Ooun Ouuoooon ゜゜ ゜ ゜ ゜ ゜ 』
゜ ゜
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