それは突然だった。
「ちがう!
予感があったんだよ!』
マイケルは走りながら
叫んだ。
何度か
ルークにダンジョンに
連れて行ってもらった時に
みた光景に、
自分は何か
ひっかかりを覚えていた。
「この世界は!この世界は!」
こんなに走ったのは何年ぶり
だろうか。
今、いつも自分にひっついている
ヤオがいない。
「はあ!はあ!絶対!絶対!』
1時間前。
毎日早くから
巡礼者ベッドで寝起きする
マイケルの元に
必ずやってきていた、ヤオ。
そんなヤオが
一向に顔を出さない為、
マイケルはカウンターにいた
ルルに声を掛けたのだ。
「マイケルは知らなかったかも
しれないけど、ヤオは5の年に
デューティ、、に出されるって
なってたんだと、、思うよ。」
だから、今日がそうだろうと。
申し訳なさそうに、
そばかす顔を曇らせて
マイケルに答えるルルに、
「デューティ?奉公ってこと?
ちがう、体よく言ってるだけ
だよね?それ。売られたの?
ねぇ、この国って、人身売買
があるの?ルル!教えてよ!」
マイケルは人目も気に気にせず
肩を掴んで問い詰めた。
「マ、マイケル待って、聞いて」
「ねぇ、教えてよ!ヤオはどー
なるの!どうしたらいいの!」
朝のギルドカウンターでも、
巡礼者は多い。
マイケルの様子にギルドは
騒然として、
慌てて副長のレサが奥から
出てくる。
「マイケル!聞け!カフカス王領
国、ましてウーリウ藩島は人身
売買は許されてねーよ。ただな
金のねぇ家じゃ、ガキを
デューティに出さねーと
なんねーとこもあんだよ。まあ
ヤオは可哀想だが、あっこの親
あぁ毒親だ。でも、親なんだ」
レサの言葉に、ルルが下を向く。
どうやら、ヤオの親は
悪い意味で有名らしかった。
マイケルも薄々気が付いて
いたから、
ヤオが自分に付いてくるのを
咎めた事はなく、むしろ
そんなヤオに癒されていた。
だから、
「何!ねぇ、たまにダンジョンで
見るのよ!物凄く小さな子達が
他からきたハンター達に魔力を
絞りとられるのを!!あれが
デューティっていうの?!」
マイケルは、
たまに行くようになった
ダンジョンでの様子を問い詰める
ルークが、
ヤオを連れて行かない理由は、
きっと幼いからだけではない
ともマイケルは、
感じていた。
「そりゃな、他国に流れた
貧困層の魔力持ちが、奴隷とし
て子供を売ることもあんだよ」
レサが片眼鏡を少し拭いて、
突っ掛かるマイケルを
宥める。
「待ってよ!他国の魔力もち?
違うよね、ここでも売る方が
ウーリ払いがいいから、外から
人買いが入ってくるんじゃない
の?それこそヤオんとこが録な
親じゃないなら!!知ってて、」
自分もどこか気が付いていて、
見ない振りをしていた
罪悪感に
マイケルは口をつぐむ。
「マイケル!海を統べるギルド
だからといえ、全ての餓える
子供達を救う事は出来ない。
詭弁で解決できる事ではない」
マイケルとレサ達の
やり取りをギルドに集う群衆が
見守る中、
中央の螺旋階段をギルドの長、
ラジが威厳あるオーラを
纏い降りて来た。
「目の前の1人を救えなくて、
どーして、海の安全を護れる
ってのよ!!あたしは、ヤオを
奴隷になんてさせない!」
正論を言われ、
自分の浅はかさを自覚しつつも
マイケルは感情的に、
ラジに叫ぶ。
そんなマイケルに、ラジは
後ろにマモの父親を連れて
目の前のカウンターに立つ。
「好きにしろ!奴隷の金額は
デューティの比じゃないが、
お前の有り金全部を費やせば
買えんことも無いだろ。
安ずるな、
向こうのダユンに替えてある」
そして、
マモの父親に
ウーリ袋の大袋を出させる。
マイケルも、この調整世界に
来て間もなく1年。
この袋にはウーリがあるのは
解っている。
「え、て、ことは、、」
きっと、ギルドに預けていた
マイケルのウーリだ。
そして、それを換金している。
ラジ達は
相手の国も解っていたのだ。
『ガラーーーーーンガラーーーーーンガラーーーーーン』
突然、
藩島の鐘が鳴り響く!!
「マイケル急いでバリアロードに
向かえ!島あ出られたら、もう
ヤオは捕まらねぇぞ!特に
ヤオの目の色じゃ、競売で
値もつり上がる!直買いしろ!」
レサが叫んだ。
この鐘は
バリアロードが繋がる合図だ!!
「ありがとう!!ラジ長!レサ!
ヤオは、わたしが何とかする!」
マイケルは
そう叫んで、カウンターの袋を
引っ掴むと、
外に駆け出した!!
今まで、頭に点滅していた
何かの警告を
マイケルは
この日
ハッキリと意識した。
そう感じながら
必死で海沿いを走る。
ヤオは
変異の子で、
平民にかかわらず魔力量が多い
可能性から、
貧困に喘ぐ毒親に売られた。
全国民が魔力を持つ
この国では人身売買はないと
言うけれど、奉公がある。
それは、
人の形をした電池みたいな
モノだと、
ダンジョンでの様子を見た
マイケルは思っていた。
「ならさ、奴隷扱いの変異の子
なんて、魔力の捨て駒になる」
バリアロード!!
今まで自分には
近寄る理由もないと思っていた
あの場所!!
「ヤオ!待ってて!
あたしがヤオを救う!たとえ
買うって方法しか、今は
なくってもヤオを絶対助ける!」
マイケルは全力疾走する!!
巡礼者も、行商人も旅人も、
白い長い列を作るバリアロードを
めざして!!
「ちがう!
予感があったんだよ!』
マイケルは走りながら
叫んだ。
何度か
ルークにダンジョンに
連れて行ってもらった時に
みた光景に、
自分は何か
ひっかかりを覚えていた。
「この世界は!この世界は!」
こんなに走ったのは何年ぶり
だろうか。
今、いつも自分にひっついている
ヤオがいない。
「はあ!はあ!絶対!絶対!』
1時間前。
毎日早くから
巡礼者ベッドで寝起きする
マイケルの元に
必ずやってきていた、ヤオ。
そんなヤオが
一向に顔を出さない為、
マイケルはカウンターにいた
ルルに声を掛けたのだ。
「マイケルは知らなかったかも
しれないけど、ヤオは5の年に
デューティ、、に出されるって
なってたんだと、、思うよ。」
だから、今日がそうだろうと。
申し訳なさそうに、
そばかす顔を曇らせて
マイケルに答えるルルに、
「デューティ?奉公ってこと?
ちがう、体よく言ってるだけ
だよね?それ。売られたの?
ねぇ、この国って、人身売買
があるの?ルル!教えてよ!」
マイケルは人目も気に気にせず
肩を掴んで問い詰めた。
「マ、マイケル待って、聞いて」
「ねぇ、教えてよ!ヤオはどー
なるの!どうしたらいいの!」
朝のギルドカウンターでも、
巡礼者は多い。
マイケルの様子にギルドは
騒然として、
慌てて副長のレサが奥から
出てくる。
「マイケル!聞け!カフカス王領
国、ましてウーリウ藩島は人身
売買は許されてねーよ。ただな
金のねぇ家じゃ、ガキを
デューティに出さねーと
なんねーとこもあんだよ。まあ
ヤオは可哀想だが、あっこの親
あぁ毒親だ。でも、親なんだ」
レサの言葉に、ルルが下を向く。
どうやら、ヤオの親は
悪い意味で有名らしかった。
マイケルも薄々気が付いて
いたから、
ヤオが自分に付いてくるのを
咎めた事はなく、むしろ
そんなヤオに癒されていた。
だから、
「何!ねぇ、たまにダンジョンで
見るのよ!物凄く小さな子達が
他からきたハンター達に魔力を
絞りとられるのを!!あれが
デューティっていうの?!」
マイケルは、
たまに行くようになった
ダンジョンでの様子を問い詰める
ルークが、
ヤオを連れて行かない理由は、
きっと幼いからだけではない
ともマイケルは、
感じていた。
「そりゃな、他国に流れた
貧困層の魔力持ちが、奴隷とし
て子供を売ることもあんだよ」
レサが片眼鏡を少し拭いて、
突っ掛かるマイケルを
宥める。
「待ってよ!他国の魔力もち?
違うよね、ここでも売る方が
ウーリ払いがいいから、外から
人買いが入ってくるんじゃない
の?それこそヤオんとこが録な
親じゃないなら!!知ってて、」
自分もどこか気が付いていて、
見ない振りをしていた
罪悪感に
マイケルは口をつぐむ。
「マイケル!海を統べるギルド
だからといえ、全ての餓える
子供達を救う事は出来ない。
詭弁で解決できる事ではない」
マイケルとレサ達の
やり取りをギルドに集う群衆が
見守る中、
中央の螺旋階段をギルドの長、
ラジが威厳あるオーラを
纏い降りて来た。
「目の前の1人を救えなくて、
どーして、海の安全を護れる
ってのよ!!あたしは、ヤオを
奴隷になんてさせない!」
正論を言われ、
自分の浅はかさを自覚しつつも
マイケルは感情的に、
ラジに叫ぶ。
そんなマイケルに、ラジは
後ろにマモの父親を連れて
目の前のカウンターに立つ。
「好きにしろ!奴隷の金額は
デューティの比じゃないが、
お前の有り金全部を費やせば
買えんことも無いだろ。
安ずるな、
向こうのダユンに替えてある」
そして、
マモの父親に
ウーリ袋の大袋を出させる。
マイケルも、この調整世界に
来て間もなく1年。
この袋にはウーリがあるのは
解っている。
「え、て、ことは、、」
きっと、ギルドに預けていた
マイケルのウーリだ。
そして、それを換金している。
ラジ達は
相手の国も解っていたのだ。
『ガラーーーーーンガラーーーーーンガラーーーーーン』
突然、
藩島の鐘が鳴り響く!!
「マイケル急いでバリアロードに
向かえ!島あ出られたら、もう
ヤオは捕まらねぇぞ!特に
ヤオの目の色じゃ、競売で
値もつり上がる!直買いしろ!」
レサが叫んだ。
この鐘は
バリアロードが繋がる合図だ!!
「ありがとう!!ラジ長!レサ!
ヤオは、わたしが何とかする!」
マイケルは
そう叫んで、カウンターの袋を
引っ掴むと、
外に駆け出した!!
今まで、頭に点滅していた
何かの警告を
マイケルは
この日
ハッキリと意識した。
そう感じながら
必死で海沿いを走る。
ヤオは
変異の子で、
平民にかかわらず魔力量が多い
可能性から、
貧困に喘ぐ毒親に売られた。
全国民が魔力を持つ
この国では人身売買はないと
言うけれど、奉公がある。
それは、
人の形をした電池みたいな
モノだと、
ダンジョンでの様子を見た
マイケルは思っていた。
「ならさ、奴隷扱いの変異の子
なんて、魔力の捨て駒になる」
バリアロード!!
今まで自分には
近寄る理由もないと思っていた
あの場所!!
「ヤオ!待ってて!
あたしがヤオを救う!たとえ
買うって方法しか、今は
なくってもヤオを絶対助ける!」
マイケルは全力疾走する!!
巡礼者も、行商人も旅人も、
白い長い列を作るバリアロードを
めざして!!