一度離れようとした私を唯斗くんは抱きしめた。

……抱きしめた?


気付けば、すっぽりと腕の中におさまっている私。



「唯斗くん⁉」

「少しくらい。いいだろ……」



ええー……。

いつも俺様で意地悪な唯斗くんが、少し拗ねたような甘えた声を出す。

これがギャップ?

……世間一般で言う“ギャップ萌え”まではしなかったが。



「じゃあ、僕も」



そう言って春馬くんは後ろから私に抱き着いてきた。

なにこの、サンドウィッチ状態。

意味が分からない。

ていうか、こんなところ、誰かに目撃されたらどうするの。

困るのは唯斗くんと春馬くんなんだからね?


はあ。

ため息が出る私。

大きな子供を抱えた気分だよ。