「ダメに決まってんだろ」



ほら。

キスなんてダメに決まっている……。


って、え?

心の声が漏れたのかと思えば、違くて。

声のするほうを向けば唯斗くんが鬼のような顔をして立っていた。

固まる私。


ゆ、唯斗くん……。

怒っているよね?

でも、なんで?



「勝手にキスするとか、ふざけんな」



え、え?

私、怒られている?

キスしたのは私じゃなくて春馬くんだし。

それにこれは、事故みたいなもので。


と、心の中で必死の言い訳をしていると。

唯斗くんは私の横を通り抜け、春馬くんのワイシャツの胸元を掴んだ。



「ちょ、唯斗くん⁉」



今にも殴りかかりそうな唯斗くん。

それはダメだ!

ケガ人が増えちゃう!

じゃなくて!

顔に傷がついたら大変だし!

2人の関係性的にも良くない!

止めなきゃ!