……私はアイドルでもないし、芸能界のこと、全く分からないから。

分からないから。

分からないけど。

分からないなりに、見つけた言葉は。



「……私が春馬くんたちに、なんで毎日ご飯を作ったりするのか、分かる?」



唐突な質問に春馬くんは困惑した表情を見せる。

しばらく考えてから、春馬くんは呟く。



「春原さんの命令だから」



春馬くんらしい答えに思わず笑ってしまう。

そんな私を軽く睨む春馬くん。



「……じゃあ、なんで?」



春馬くんは少し不機嫌そうに問う。

私は笑いを落ち着かせて、春馬くんの目をまっすぐに見る。

それから、自分の想いを伝える。



「……最初はね、確かに春原さんに言われたから、家事をしていたの」

「……うん」

「だけどね。ご飯を作ったりするのは、」



少しでも2人の仕事の疲れを取りたいと思うから。

2人が帰ってきたときに温かいご飯を用意してあげたいから。

朝は少しでも栄養つけて、1日を過ごしてほしいから。

朝食と夕食を用意するのは、少しでも2人と同じ時間を過ごしたいと思うから。


だから私は、2人にご飯を作り続けるんだ。