「唯斗はすごいな、って思う」

「……」

「もっと頑張らないと、唯斗においていかれる」

「春馬くん……」

「僕はもっと頑張らないと、ベルプリュームが売れなくなる」



そうなれば唯斗に迷惑がかかる。

春馬くんは苦しそうな顔で呟いた。


ベルプリュームが売れなくなる、かぁ。

春馬くんと唯斗くんのアイドルグループが売れなくなったら。

テレビやCM、ポスターで見ることが出来なくなったら私も悲しい。


でも。

今の春馬くんに『もっと頑張りなよ』って言葉は残酷すぎる。

それに、誰よりも春馬くんが『頑張らなきゃ』って思っているだろうから。



「こんなところで弱音言っている場合じゃないのにね」



弱音ぐらい聞かせてよ。

そう言いかけたけど、言葉にはならなかった。

だって、春馬くんが私を拒絶しようとしているのを感じたから。


ひとりで抱え込めばいい。

きっと春馬くんは、そう思っている。


それは違うよ、って伝えたいのに。

私の言葉じゃ説得力がない。