やっぱり、春馬くんは元気がない。

それは今日だけじゃなくて。

同居を始めた日から、感じていたこと。


いつも笑顔の春馬くん。

私の前でも笑顔を見せてくれる春馬くん。

だけど、ふとした瞬間。

春馬くんは悲しくて辛そうな顔をするんだ。

それに気付かないふりをしていた私。

だけど、やっぱり気になるんだ。



「3か月後のコンサートに関係あるの?」

「……ううん。なんでもないよ」



まただ。

また、そうやって私を拒絶する。

私が春馬くんの心に触れようとすると、春馬くんはそれを拒む。


……同居を始めた日。

春馬くんは『仕事が忙しくなる』って言っていた。

それから毎日、多忙なスケジュールをこなしていたのは知っている。

学校も仕事も両立して。

体は相当疲れているだろうなって思う。

多分、精神的にも。



「ただ、」



しばらくの沈黙の後、春馬くんが口を開く。
聞こえるか聞こえないくらいの声。

呟きが消えてしまいそうなくらい、弱々しかった。