「ってことで、僕が保健室に連れて行くから」

「待てよ」

「唯斗は試合頑張ってね」



もう、どうなっても知らないんだから。

春馬くんはなぜか唯斗くんを挑発するような口調だったし。

唯斗くんの出している空気は怖かったし。

ギャラリーの女子たちの目は突き刺さるようで、とてもじゃないけど顔を上げられなかった。

私は周りの目に耐えられず、春馬くんの胸に顔をうずめる。



「……本当、食べちゃいたいくらい可愛い」



そんな春馬くんの言葉は聞こえないふりだ。

早く保健室に連れて行って。

それでこの周囲からの鋭い視線から解放させて。

私は春馬くんに不本意ながらお姫様抱っこをされながら体育館をあとにした。