ニコリと笑って頷いている。
 そう言われては仕方がない。本当に私でいいのかな……。そう思いながら、おずおずと前に出る。

「ダイヤモンドガールで踊ることになった時はどうなることやらと思っていましたが、素晴らしいダンスでした。ここまでの出来栄えは、我が校始まって以来です」

 その言葉と共に、理事長から表彰状が渡される。
 わぁ~~。夢みたい‼ 一生の思い出だよ。
 律が感動していると、蜂が寄ってきた。
 ブンブンと律の顔の周りを飛び回る蜂。

「きゃっ蜂がっ嫌だっ」

 律は髪を振り乱しながらかわした。
 あまりに頭を振りすぎたせいで、伊達眼鏡が地面に落ちた。
 蜂がいなくなり、やれやれと前髪をかきあげながら前を向くと……。
 全校生徒が、目をパチクリさせている。

 ――みんな、どうしちゃったの?

「嘘だろ……」

 ん? 

「南野……」

 まさか……。
 律はそっと顔に触れてみる。伊達眼鏡が、ない。
 蜂から逃げるのに夢中で、伊達眼鏡が落ちたことに気付けなかった。

 ――しまった!

「南野ひかりだぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」