私は服を着たまま、バスルームに入れられた。
彼も、一緒に。

「何するんですか!」

私の抗議を一切無視した彼は、シャワーのお湯を私の頭の上からかける。
人肌より少し高い温度のお湯は、優しく私の体に沁みてくる。

しかし、彼は急にシャワーを止めてしまう。

「社長……?」

今度は、彼が俯いていて、表情が一切見えない。

「あの……どう……しました?」

おそるおそる尋ねると……。

「良かった……」

彼の声は、震えていた。
泣きたくても泣けない、涙を堪える時の声で呟くと、私を抱きしめた。

最初は、宝物を扱うかのように優しく。
それがだんだん強くなっていく。

「君が……死ぬかと思ったら……僕は……」

彼の、私を抱きしめる手が震えていた。