「えっ!?」
抱え上げられて、私の意識はよりはっきりしてきた。
「やめて!重いから!」
「軽くなったよ」
「でも重いから……」
「黙って」
彼は、私の耳元でささやく。
そんな風に、命令口調で彼が私に何かを言うのは、初めてだった。

私は反射的にこくり、とうなずき、それを見た彼は
「もう少し辛抱して」
と言うと、そのまま雨の中、私を抱えて走った。

雷は、いつの間にか遠くの方に去っていた。