空が、動いた。
光が、見えた。
直感で、分かる。
次は、当たる。
私に。



これで……楽に……なれる……?


目を閉じた。
瞼の裏に見えたのは。

「雨音」

やっぱり、それでも大好きな、あの人の……社長の笑顔。




嫌だ。
こんなところで死にたくない。
もう一度、社長に会いたい。
会わせて。
何て勝手なお願いなんだろう。


でも、体はもう、動かない。
力が入らない。
もう、無理だ。


そう思ったのに……。


「雨音!!!!」
聞くと涙が出るほど嬉しくなる声が聞こえた。
それと同時に、私はぐいっと引っ張り上げられて。
私が倒れたコンクリートには、大きな大きな穴が空いた。



私は、大好きな香りだけを感じていた。