さっき、走った道に戻ってきた。
彼から逃げたばかりの道。
彼からプロポーズされた、あの公園の方をふと見てみる。

いない……。

彼の姿が見えないことに、ほっとして、そしてがっかりする。

追いかけて欲しくなかったはずなのに。
いざ、やっぱりいないと分かると、寂しいとか、悲しいとか思ってしまうのは、なんて勝手なんだろう。

そんな私に罰を与えるかのように、激しい雨が私に打ちつける。
呼吸をしようと口を開けると、途端に雨水が口に入り込んでくる程、強い雨。

私の心の叫びを打ち消してくれるほどの、激しい雨。