かつては、私の方が整理整頓が得意で、彼のデスクを片付けるのも私の役目だった。
だけど今は、どう言う風に整理整頓をすればいいのかどころか、ペン一本動かすのも苦痛だ。

一方、彼はと言えば……。
かつてはペンもメモも領収書も、適当にその辺に散らかしては無くし、また散らかしては無くすのループ状態。

そんなカオスを
「しっかりしてください」
とびしっと叩き直すのが、私の役目の1つだった。
それなのに……。
今では、私が散らかしてしまったありとあらゆるもの……下着でさえも、彼はあっという間に綺麗に片してしまう。

彼の大きすぎる変化を目の当たりにしたのが……ショックだった。

……違う。
そうじゃない。
そうではなくて……。

彼が変化したことが、ショックじゃない。
私が彼のためにできなくなったことが多すぎることが、辛くて、苦しくて……考えるだけで何度も吐いた。

彼と一緒に過ごす毎日は、かつては当たり前だった。
それからしばらく、会えない日々が続いた。
そして再び、一緒に過ごせる日が始まった。

あんなに望んでいたはずの彼と過ごす日々。
しかし、それをもう一度取り戻した私は、失ってしまったものの大きさに、改めて気付かされてしまい……。
幸せよりも不甲斐なさと、自分への嫌悪が積もり積もっていく日々だった。